2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

生成される「忘却できぬ記憶」

岡真理の文章を読んだのは『棗椰子の木陰で』以来かも知れない。あの時と変わらず,この人の視点は表向きの戦争の悲惨さ・破壊のビジュアルよりも,受難者である人々の心に刻まれたものの方が何十倍も深刻であること,非日常性が日常になる生活を送る人々の…

ことばが話者を獲得するのは…

文法構造が安易になっている事と,国際語やlingua franca として人気を博すこととは何の関連性もない。後者は話者数の多さと影響力の大きさによる。 かつては文化語(langue culturelle, Kultursprache, cultured language) という,専門用語や文学などその言…

戦前の教養主義の恩恵とその後の継承への嘆き

戦前の日本で教養を身につけることができたのは、旧制高校生だけだった。最も有名なのは外国語の授業で、甲類は英語、乙類はドイツ語、丙類はフランス語が第一外国語で週に10時間以上をこの言語での購読に充てられた。この授業で旧制高校生は英独仏語による…