Silvesterkonzert 2023 in der Philharmonie, Berlin

Silvester 初日(12月29日)は最高の出来だった。

第1曲目のタンホイザー序曲は音のレンジの幅を巧妙に制御した演奏。pから始まって徐々にffに広がっていく音の幅。

メインプログラムのワルキューレ第1幕はヨーナス・カウフマンはもちろんのこと、ツェッペンフェルトも素晴らしかった。とりわけSieglinde役のミクネヴィチューテはドラマティックでありながら雑さを全く感じさせない、まるでBrünnhilde役がSieglindeを歌っているかのような印象だった。この人はStaatsoper zu Unter den Linden でもSieglindeを歌っているので、このレパートリーは高い評価を得ていると言うことだろう。

カウフマンのSiegmundが絶好調だったのは長い長い対空時間の „Wälse“ „Wälsubgen Blut“ でも良くわかった。往年の Lauritz Melchior や Max Lorenz を聞いているかのようだった。

ペトレンコのタクトは当然の如く冴に冴えていた。流石に Bayerische Staatsoper, Bayreuther Festspiele で „Ring“ を振ってきた人である。冒頭からクレッシェンドが見事に表現された弦——特にコントラバス——のアタックが聴衆をSaga(神話)の世界へと誘ってくれる。

出しゃばりすぎず、且つ英雄的にLeitmotivを奏でる金管セクション,目の醒める豪快な連打の2台のティンパニ。あまりにも上手くて、これが超一流のソリストたちの集合体だから出来ているのを全く忘れさせる程の自然さ!

この日、ベルリン・フィルは珍しくアンコールを演奏した。 Lohengrin Vorspiel zum 3. Aufzug だ。Die Walküre 1.Aufzug が Siemund, Sieglinde の近親婚で終わるせいか、 Zugabe にこれを持ってくるとは心憎い演出だ。とても軽快な、快速電車のようなスピードが最初から最後まで崩れず演奏されるところが、Virtuosen による Zugabe感を強く感じた。

DCHのライヴは31日。同じ演目をネットで見られるのが楽しみだ。